貝殻とペンダント

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「……がってん了解しました。ここで目標を監視しています」 「……お嬢ちゃん、そんな台詞どこで覚えたんだい?」 「昨日寝る前に、ハクと“てれび”を見てたらかっこいいお兄さんがそう言っていました」 あぁそうか、姉さんの部屋にはテレビがあったか……。ビシッと敬礼まで真似して言うとは、結構気に入ったんだ、その台詞。でも、もうちょっと使う時と場合を考えてほしかったかな。今ので雰囲気が崩れた気がする。 「うん、まぁとにかく、僕はキッチンに行ってるから。何かあったら呼んで?」 「イエッサー、ボス」 ……一体どんな番組を見てたんだ?      *・*・* 「うーむ……」 キッチンへと続く廊下を歩きながら、僕は頭をひねらせる。 「まだまだ謎めいてる点は多々あるけれど、僕のすべき事はかぐやがあの歌を詠んでくれるようにもっと仲良し度をアップさせる事……」 ハクが地球へ来た目的はかぐやの運命を元に戻すこと。そして僕もそれに協力すると決めた。だったら、自分のやるべきことはしっかりこなさないと。 「仲良し度アップのために、何をしたら一番効果的かな……。やっぱり食べ物作戦? 幸いなことに僕は料理得意な方だし。あれ、でも待てよ? 僕は昨日と今日で何品かかぐやにご馳走してるし、さらに独りぼっちで悲しんでたかぐやを慰めたし、貝殻もあげた。……これって結構……仲良し度アップしてるんじゃない!?」 ロングな独り言の末、たどり着いた1つの仮説。もしこれが正しかったら、ゴールは目前なのでは!? 「だって、もしかぐやが『今から月に帰る』って言いだしたらすっごく悲しいもん! だったらかぐやも同じ気持ちになるはず……!」 なんだかいけそうな気がしてきたぞ! よし、頑張ろー!
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