貝殻とペンダント

6/11
前へ
/261ページ
次へ
『そんなに気にするなんて、かぐや様らしくないですよ? いつものかぐや様は何処へ行ってしまったのですか?』 「し、失礼な」 どうやら、今の台詞に込めた意味を理解出来たようで、かぐや様はぷくっと頬を膨らませました。うんうん、心配そうな顔をしてへこんでいるよりも、その表情の方がずっとかぐや様らしくていいですね。 「ハクはかぐやの大事なお友達なのですから、倒れたら当然心配するし、かぐやのせいだったのなら責任も感じますよ」 『おぉ、成長しましたねかぐや様。貴女の9割を占めていた我が儘度が7割まで下がって、代わりに思いやりと責任感が新たに加わったようです』 「えへん!」 私に誉められたと思ったかぐや様は、満足気に胸を反らしてそう言いました。 今の台詞を逆にとると、『今までは思いやりも責任感もなかった』ということになるのですが……そこには気がつかなかったようですね。 『……あ、そういえば今、かぐや様は私のことを“お友達”と言いましたが、正確には“主と世話係”の関係ですよ』 「そんなの堅苦しくて嫌ですよ。もっとシンプルな関係でいきましょう。かぐやとハクは、お・と・も・だ・ち。はい、リピートアフターミー」 『……おともだち』 「良く出来ました」 にっこりと微笑み、私の頭を撫でるかぐや様。ちょ、恥ずかしいんですけど。
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加