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『あのー、かぐや様? 話についていけないんですけど……。どうして私にこれを?』
「あぁ、すいません。えっとですねっ」
テンションMAXだったかぐや様は、一息ついてから再び口を開きました。
「ほら、ハクって人見知りでしょう?」
『……は?』
どうしましょう、一言目からついていけません。私が人見知りだという追加設定、いつの間に出来たんでしょうか?
「それで、かぐやはハクの人見知りを治してあげたいなって思ったので、昔黒陽に教えてもらったおまじないをやってみる事にしたのです!」
そう言って、かぐや様は誇らしげに貝殻のペンダントを掲げました。
あぁ、そういえばさっき黒陽が言っていましたね。“かぐや様が、私のことを人見知りだと勘違いしている”と。
私は断じて人見知りではありませんが……とりあえず話を合わせておきましょう。
『おまじない、ですか。どのようなおまじないなんですか?』
「“貝殻に願いを込めて大切な人に肌身離さず持っていてもらうと、その願いが叶う”というものです! “ハクの人見知りが治りますように”ってお願いしておいたので、このペンダントを常に身につけていてくださいねっ」
にっこりと微笑み、かぐや様はそのペンダントを私の枕元へそっと置きました。
黒陽がそんな乙女なおまじないを知っているなんて、気持ち悪いですね……。
かぐや様の勘違いなのでその願いはもうすでに叶っていますが、かぐや様の優しさとして素直に受け取っておきましょう。そこまでする程心配してくれているとは知らなかったので、なんだか嬉しいですね。
きっと、私が他人とは極力関わらないようにしているので人見知りだと勘違いしたのでしょうが……。残念ながら違うんですよね。それには違う理由がありますから──。
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