発表と発狂

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「「……え?」」 ハクの発表にほうけた僕らの声が重なる。なんか今、凄く悲しい発表がされた気がするけどきっと僕の聞き間違いさ。 『あれ、聞こえませんでした? もう一度言いますよ? 今晩、私とかぐや様は月に帰りま──』 「帰りませんっ!!」 突如かぐやが勢いよく立ち上がり、テーブルをバンッと叩いてハクの言葉を遮った。家中に響き渡る程の声量に、僕の鼓膜が悲鳴をあげた気がした。 「どうして急にそんなことを言うのですか!? まだ3日目ですよ!」 お箸を片手に、かぐやがハクに詰め寄っていく。どうやら、さっきのは聞き間違いじゃなかったみたい。今晩、ハクとかぐやが月に帰る──? なんだか、胸がぎゅーっと締め付けられるような気持ちになった。 『“まだ3日目”? いいえかぐや様、“もう3日目”です。今ごろかぐや様が居なくなっていることはとっくにバレているはず。早いうちに戻っておいた方がいいです』 「やだ!!」 『やだって貴女ね……』 「絶対やだ!! かぐやは帰りません!!」 『我が儘言わないでくださいよ。どうせいつかは戻らなくてはならないのだから、かまわないでしょう?』 「やーだー! もっと地球で遊ぶー!」 『ちょっ……! かぐや様!』 涙目になったかぐやが席を立ち、ハクの肩を掴んで前後にシェイクさせ始めた。その速いこと速いこと……! 「──ってかぐややめて! ハクが死んじゃうよ!」
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