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『忘れたのですか? 私達のするべきことは、かぐや様にあの歌を詠ませること。そうですよね?』
「うん」
──今はとて 天の羽衣 着る折ぞ 君をあはれと 思い出でける──
この歌をかぐやが詠めば、狂った運命を元々に近い状態まで戻すことが出来ると、ハクは一昨日僕に言った。
「でもあの歌をかぐやが詠むには、僕とかぐやがもっともっと仲良くならなきゃいけないんでしょ? でも、まだ──」
『彰』
名前を呼ばれて、僕はいつの間にか伏せてしまっていた目をあげて、ハクに視線をやった。
暖かくて、優しい瞳が僕を真っ直ぐに見つめていた。
『さっきのかぐや様を見たでしょう? 私が帰ると言ったらすぐに反論したし、目的は果たせているのにも関わらずまだここに居たいと言った。かぐや様にとっては、この家は心地いい場所となっているし、かぐや様はもう彰のことが大好きなんですよ』
「だ、大好……っ!?」
予想外の台詞に、顔がカーっと赤くなっていくのを感じた。そ、そんな大好きだなんて……。どうしたらいいの僕! こんなとき姉さんが居たら相談を……!
『まぁ、恋愛感情の“好き”ではなく友達としての“好き”でしょうが』
「…………」
ですよねー……。どうせそういうオチですよねー……。
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