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『おや、どうしたんですか残念そうな顔をして。もしかして期待でもしてたんですか?』
「なっ、ち、違うよ!」
『もう、照れちゃって。なんですか、青春?』
ニヤニヤと僕を見る視線がたまらなくウザイ。さっきまでの暖かい瞳は何処に忘れてきた?
「別に、期待なんてしてないもん」
『あぁ、そうか。そういえば彰にはすでに相手がいるんですよね。確か名前は……悠ちゃん?』
「なんでそうなるっ!」
いつ僕がそんなことを言ったんだ!
「もう、ハクの馬鹿っ。僕、かぐやを慰めに行ってくるから!」
こういう話題はホント苦手だから、勘弁してほしい。だいたいなんで悠ちゃんが出てくるんだよ。友達だって言ったのに!
僕は食べかけの朝食をひとまず放置し、リビングを出て姉さんの部屋へ。待ってろよ秋刀魚、後でちゃんと食べてやるからな。
*・*・*
『……彰は純粋ですねぇ。からかいがいがある』
ふふ、と笑みをこぼし、彰が作ってくれた料理を口へ運びます。うん、料理上手とは素晴らしい才能ですね。
……ところで先程のかぐや様の行動、実は私も驚いています。まだあの歌を詠むほどまで仲良しレベルは上がっていないと思っていたのですが、あれならきっと大丈夫でしょう。
いきなりあの話題を切り出したのもかぐや様の反応を見るためだったのですが……いやはや、これで一安心。今宵の満月は、良い結果をもたらしてくれそうです。
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