145人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?」
「ご両親もお姉様も、本当ならここに居るはずなのにそれが出来ないから、彰はずっと辛かったのですね」
「…………」
そんなつもりで言ったんじゃなかった。ただ純粋に、もしこのままかぐやが戻らなかったら、かぐやの家族は寂しい思いをするだろうと思って言ったんだ。
でも知らないうちに、僕はその人達と僕自身を重ねていたみたい。今まで、これが僕の家の常識なんだから僕は1人でも大丈夫、と思っていたけれど、やっぱり心の何処かでは寂しかったんだ。だから、分かる。残された側の辛さも、寂しさも。
「家族が傍にいないのは、辛いですか?」
「……うん」
「皆でいる方が、幸せですか?」
「……うん」
話しているうちに、だんだん心細くなってきた。会いたいなぁ。父さんに、母さんに、姉さんに。最後に家族全員が揃ったのは、一体いつだったんだろう……?
なんて考えていた、その時。後ろから、かぐやがおでこを僕の肩にそっと置いた。
「か、かぐや?」
ちょ、近い、近いよ? 慣れない展開はやめて!?
「──でしょうか」
「え?」
「かぐやの家族も、かぐやが居なくなって寂しいと思ってくれているでしょうか……」
最初のコメントを投稿しよう!