発表と発狂

11/13
前へ
/261ページ
次へ
「え?」 「ご両親もお姉様も、本当ならここに居るはずなのにそれが出来ないから、彰はずっと辛かったのですね」 「…………」 そんなつもりで言ったんじゃなかった。ただ純粋に、もしこのままかぐやが戻らなかったら、かぐやの家族は寂しい思いをするだろうと思って言ったんだ。 でも知らないうちに、僕はその人達と僕自身を重ねていたみたい。今まで、これが僕の家の常識なんだから僕は1人でも大丈夫、と思っていたけれど、やっぱり心の何処かでは寂しかったんだ。だから、分かる。残された側の辛さも、寂しさも。 「家族が傍にいないのは、辛いですか?」 「……うん」 「皆でいる方が、幸せですか?」 「……うん」 話しているうちに、だんだん心細くなってきた。会いたいなぁ。父さんに、母さんに、姉さんに。最後に家族全員が揃ったのは、一体いつだったんだろう……? なんて考えていた、その時。後ろから、かぐやがおでこを僕の肩にそっと置いた。 「か、かぐや?」 ちょ、近い、近いよ? 慣れない展開はやめて!? 「──でしょうか」 「え?」 「かぐやの家族も、かぐやが居なくなって寂しいと思ってくれているでしょうか……」
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加