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「あ、彰が逃げたぁっ」
そりゃ逃げるわ!
「なんなのさイキナリ! それどうしたの!?」
「だから、かぐやが作ったんですよ。彰のために」
「どうやって!? しかも勝手に!?」
「お姉様の部屋にあった本にかいてあったんです。凄く美味しそうだったので作ってみたくなったのですよ。それで彰に『キッチンを借りてもいいですか』って聞いたら『いいよ』って」
そんなこと言った覚えはないし、ましてやそんな会話した覚えもない。
『読書に夢中になって、聞いていなかったのでは?』
「あぁ、成る程! それで適当に許可を出してしまったと──って感心してる場合じゃないっ。僕の馬鹿!」
再び殺人兵器を生み出させてしまった……。僕の責任だーっ。うわ、ハクの視線が痛いし……。あの目は明らかに怒ってるよ。
「分からない言葉が多かったので勘で作ってみたんですけど、きっといけると思うので食べてください!」
「料理は勘でするものではありません!」
かぐやはまったくの料理初心者なんだから、それじゃ99%勘じゃないか。なんて恐ろしい!
『……彰』
「ん、なに?」
ハクの囁きに目を落とすと、ハク呆れ気味にため息をつきながら言った。
『朝食の時は完全に不機嫌だったかぐや様を、どうしたらあんなハイテンションにできるんですか? 月へ帰ることもすんなり納得させたし、貴方の話術は余程巧みなのですね?』
「う……、僕はただ、家族が心配してるよって言っただけなんだけど……」
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