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『自分から家出したというのに、かぐや様ったら……。本当に単純ですね』
そう言って、ハクはハァ……とため息をもらした。でも、その表情はどことなく嬉しそう。呆れる反面、かぐやが帰るになって安心したのかな。ハクの目標達成まで、あと少しだもんね。
「今日までのお礼を込めて作ったんです。あと、かぐやのこと忘れないでくださいねって意味も込めて」
「うん、別の意味で忘れないよ」
『ずっと口の中に残っているでしょうね』
「や、やなこと言わないでよ!」
想像したら、なんだか口の中がぞわぞわしてきた。それくらい、今僕達の前にあるのはおぞましいものなんだ。
「さぁ、どうぞ」
かぐやが殺人兵器の1つをつまみ、僕の口元へ寄せてきた。なんだか「はい、あーんっ」みたいな、男なら一生に一度は夢見るであろう素敵なシチュエーションに聞こえるけど、実際は殺人現場だからね、これ。
「ス、ストップ! 落ち着いてよかぐや! 事件は現場で起きてるんだ! 会議室じゃないんだよ!」
「ええぃ、ごちゃごちゃと訳の分からないことを! いいからさっさと食べてください!!」
「ふぐっ!」
僕がいつまでも拒んでいるから焦れったくなったようで、かぐやは無理矢理ソレを僕の口に押し込んだ。
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