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『た、大変です彰! 私達は一つの尊い命を見捨ててしまったかもしれません!』
ハクは青い顔をしてガバッと跳ね起きた。
「だよね……。あのホットケーキも相当カオスなことになってたもんね……」
あの時はホットケーキを見ただけだったからあまり心配にならなかったけど、実際かぐやの料理を食べた今なら分かる。あのホットケーキを食べた者はきっと危機的状況に陥っているはずだ、と。マドレーヌを食べてしまった僕やハクのように……。
これが心配せずにいられるだろうか!
「ハク、行こう」
僕は仰向けにしていた体を反転させ、ハクの目を真っ直ぐに見て言った。
「その動物の事を考えると気の毒でしょうがない。彼は僕らのために兵器と戦ってくれたんだ。さぁ行こう! 我らが同志を救いに!」
『ええ、行きましょう!』
互いの拳を合わせて意気込む僕達の心は燃えたぎる炎で熱く輝いていた。
「さっきから、何を盛り上がっているんです?」
と、かぐやがキッチンから顔を覗かせて言った。僕達の声は、ドラマに夢中になっていたかぐやの耳にも届く程大きかったみたい。
「僕達、ちょっと外に行ってくるから」
「どうして?」
『一昨日、かぐや様のホットケーキを食べてくれた動物を探しに行くのです』
「ふうん……?」
かぐやはよく分かっていないようで、首を右へ左へ何度か傾けていたけれど、やがて何か思いついたようにパッと顔を輝かせた。
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