哀れみと捜索

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「『待ち伏せ?』」 僕とハクの声が重なり、同時にかぐやへ目を向ける。 「一昨日犯人は、かぐやのホットケーキを綺麗さっぱり平らげて行きました……」 かぐやが「犯人」と呼ぶのは、きっとさっき見てた推理ドラマの影響。犯人というより、寧ろ英雄なんだけどね。 「……で、それがどうしたの?」 尋ねると、かぐやはときどき見せるあの「むふふ~」という笑顔になった。 「つまり、犯人は空腹だったということです!」 「……野良だったら皆そうなんじゃない?」 あんまり自信有りげに言うものだからどんなことを思いついたのかな、って思ったけど、かぐやが言ったのは改めて確認することでもない当たり前のことだった。 『“あの”ホットケーキをすべて食べていくくらいですから、相当お腹がすいていたのは間違いないでしょうね』 そろそろ毒をはくのは止めなさい。 「そうです。すなわち、野良の動物は空腹になっている場合が多々あるということ。だったら、これを利用してやりましょう!」 ハクの台詞を聞き流し(というか裏の意味に気付いてない)、ガッツポーズを作ってかぐやが言った。 「と、言うと?」 「またかぐやの手料理を外に出しておいて、犯人が食らいつくのを待てばいいのです!」 かぐやが提案した作戦は、シンプルだけど根気がいりそうなものだった。
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