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『では、料理をしに家に戻らなければいけませんねぇ……』
「その必要はないですよ!」
そう言うや否や、かぐやはポケットの中から小さな包みを取り出した。
「ほら、かぐやがさっき作ったマドレーヌがまだ残っています」
包みの中身は、僕とハクを地獄の入り口まで連れていったあの黒い塊。5個くらいあるソレが、白い包み紙の中から顔を覗かせていた。さっきよりは匂いが薄れているけれど、それでもその恐ろしい外見には身震いせざるを得ない。
ああ~、なんか嫌な記憶が蘇ってきそう。額から変な汗があぁ……!
『そ、それがあるなら大丈夫ですねっ。どこに仕掛けますか!?』
僕と同じような症状になったのだろう、ハクが慌ててそう言った。
「や、やっぱり一昨日と同じように家の庭に置いたほうがいいかなっ!?」
僕もこれ以上おぞましい記憶を呼び起こしたくなかったから、ハクに続いてそう言った。ついでに、目線は絶対にソレに向けないように注意だ!!
「ええー、でも家に戻るのは面倒ですよ。いいじゃないですか、この辺で」
ぶうーっと唇を尖らせてそう言うかぐや。まだ10分くらいしか歩いてないから、家からそんなに離れてないのに面倒って……。
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