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と、その時。
『あ、あれを見てくださいっ』
ハクが声を低くして言った。緊迫した空気が走り、僕とかぐやは一層身をかがめてマドレーヌの様子を伺う。
「ハ、ハク? どうしたのです?」
かぐやが尋ねると、ハクは手を口に当てて『静かに』とジェスチャーで示した。もしかして、目標がやって来たのかな! ドキドキしてきたー!!
「あれは……?」
少しすると、カサ、カサ、という草を踏む足音と共に1匹の動物がマドレーヌに近寄ってきた。
「……猫ですっ」
よく見ると、それは左目に傷がある黒猫だった。その傷がなんだか凄くかっこよく見える。
『あの猫が、一昨日ホットケーキを食べたのでしょうか……?』
黒猫が、1歩1歩マドレーヌに近づいていく。やがて目と鼻の先まで傍によってくると、ゆっくりとその小さな鼻を黒い塊へと寄せていった。
もし、あの黒猫が僕達が探していた動物なら、そのままパクリといくはず──!
僕達が固唾を飲んでその光景見守っていると──
ガサガサッ!! と、勢いよく近くの木が揺れ、“なにか”が颯爽と飛び出してきた。
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