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「ぎにゃっ!?」
ソレは目にも止まらぬ速さで黒猫に飛び掛かってきた。隙をつかれた黒猫は驚いて奇声をあげる。
「な、なんだあれ?」
いきなり飛び出してきた、黒猫よりも二回り程大きな動物。薄暗くなってきたせいか、なんなのかはよく分からない。でもあの体格的に……犬、かな?
「ギャアッ!!」
突然の襲撃に頭に血がのぼったらしい黒猫は、仕返しにと鋭い爪を立てて振り上げた。しかしその攻撃はさらりとかわされてしまい、余計に黒猫を怒らせてしまった。
「ギャーー!!」
猫とは思えない奇声を発しながら、今度は体当たりしようと地面を蹴る。しかしその拍子に振り上げた尻尾がマドレーヌに当たり、1つが広げられていた包み紙の上から転げ落ちてしまった。
コロコロと転がっていくマドレーヌ。このままでは木々の中に隠れて見つけられなくなってしまう。
「にゃっ」
その様子に気付いた黒猫は、体当たりしようとジャンプしかけていた体の方向を器用に90度曲げてマドレーヌを追いかけ始めた。
喧嘩の途中に相手に背中を見せる程マドレーヌが惜しいらしい。黒焦げでも食べ物は食べ物、という考えなのか、とにかく相当お腹がすいているようだ。
「にゃー!!」
待ってくれ、と言わんばかりにマドレーヌを追いかける黒猫。だが、必死になっている彼の背後からは二回り大きな影が襲い掛かってきていた。
『それは、俺のだー!!』
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