哀れみと捜索

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「「『……え?』」」 突如聞こえた人語に、3人揃って首を傾げる。あの黒猫と戦ってるのはただの犬──だよね? 「……ん? もしかしてあれ、狐ではありませんか?」 かぐやの言葉に、僕とハクは身を乗り出してもう一度その姿を確認する。 「あ、本当だ!!」 ピンと立った三角の耳に、黄金色の毛並み。そして存在感のある大きなフワフワの尻尾。犬のように見えていたソレは、確かにかぐやの言う通り狐だったようだ。薄暗くなってきていたから、見間違えてしまったみたい。 『ちょ、ちょっと待ってください。だとしたら、あれ──』 ハクの顔が徐々に引きつっていくのが分かった。再び黒猫と狐に視線を戻せば、黒猫がやっとのことで捕まえたマドレーヌを狐が乱暴に奪っているところだった。 「ッ!」 いきなりのことに驚いた様子を見せながらも、黒猫は「なにをする!」というようにに狐を睨み付ける。すると狐はその何倍も強みのある睨みをきかせて『フーッ!!』と威嚇。 「!!」 どうやらその威嚇は効果絶大だったようで、黒猫はビクッと体を震えあがらせて僕達のいた茂みとは正反対の方向へ逃げていってしまった。中身は結構チキンだったらしい。 「なぁんだ、肝っ玉の小さいやつですね」 と、かぐやはフッと黒猫を嘲笑った。君がやった訳じゃないのに、どうしてそんなに威張っているんだい?
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