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…その頃
瑠琉香はというと…。
「遅い。」
随分とご立腹な様子だ。
それもそのはず、誰も居ない教室は妙に静かで薄気味悪い。…彼女はもう1時間以上も雅を待ち続けていた。
何故、頑なに雅を待ち続けるのか。それは彼女の絶対的なプライドと意地。
アイツ…。帰れ帰れって何よ?せっかくこのアタシが待つって言ってんのに。もしかして帰ってほしい?何で?…もう帰ってしまおうか。寒いし。
いや、帰れない。
ここまで待って帰るなんてアタシのプライドが許さないわ。
「アイツ…戻って来たらただじゃおかない。」
「アイツって?」
「ッ!?」
突如背後に感じた人の気配と聞き慣れた声。
ーが。
突然すぎて瑠琉香は声も上げられなかった。
「ー…ッ。………。」
「あ、びっくりした?」
「ふ、かざわ、くん。」
「ごめん大丈夫?」
「大丈夫。」
…深沢 聖也。
雅といつも一緒に居る人だ。話し掛けると気さくに笑うんだけど、それは上手な営業スマイル。彼は雅にしか心を開いてない。アタシにだってわかる。だって雅といる時だけ深沢くんは…
すごく優しそうに笑うから。
…でも雅をイジメるのも快感らしい。
「まだ残ってんの?俺帰るけど。」
「あ、雅待ってるから。」
「…心配?」
「え?」
驚いて顔を上げると、深沢くんと目が合う。真っ直ぐな深沢くんの視線に、何故だか後ろめたさを感じて再びアタシは膝を抱き顔を埋めた。
「遠山ってさ、嘘つくの下手だよな。…眉毛八の字なんだけど。」
「ッ!」
バレた…。
いや、心配じゃない。
気になるだけ…
「…見に行く?」
ふ、と
顔を上げる。
そこには
いたずらっ子のような笑みを浮かべた
やけに楽しそうな深沢くんが居た。

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