初夏の風鈴

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    富士山を背景に『写真サークル 四季 参加者求む』と書いてあるポスターだった。 絵と字はかなりうまいんだけど、小学生ばりにクオリティの低いポスターだな。 まぁでも頑張って書いてくれたわけだし、特に問題もなさそうだからこれでいいよな。 「いいじゃん、これでいこう。早く掲示板に貼りに行こうぜ」 「よっしゃ! んじゃ俺が貼ってくるから、ヒロとジュンは先に呼び込み行ってくれ」 ノブにポスター貼りをまかせ、俺とジュンは先に呼び込みをすることにした。 ―£― 今日は場所を変え、経済学部校舎の入り口前で呼び込みをすることになった。 理由はジュンがどうしてもここにしたいと言うからだ。 「なぁジュン。どうして校舎入り口で呼び込みなんだ? 昨日の場所の方が人がたくさんいるだろ」 「てやんでぇい! わかってねぇなぁヒロ! 昨日と同じことをしてちゃダメなんじゃい! 常に新しいことに挑戦してこその男よぉ!」 この江戸っ子の言うことも一理あるな。 でも何か匂う。 そんな真面目な考えじゃないだろう。 「ふっ……いいだろう。貴様の真の目的、小生が見極めてしんぜよう」    
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