初夏の風鈴

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    ここで整理してみよう。 今俺とジュンは呼び込みの為に校舎の入り口前に来ている。 人の多さなら昨日の場所の方が明らかに勝る。 わざわざ呼び込みに不利な場所を選んだジュン。 確実に呼び込み以外の目的があるに違いない。 女絡みである可能性が高いが、俺がいるこの場で女に声を掛けるだろうか……。 ……わからない……こうなったら……。 「貴様のトリックが一流であることは認めよう。しかぁし! 小生が貴様の目的を遂行しようとした瞬間っ! 現行犯で引っ捕らえてくれる!」 「何訳わかんないこと言ってんだヒロ? 早く呼び込みしようぜ」 ………。 ジュンに……ボケをスルーされた……。 今すぐ図書室に行って声を殺して泣きたい……。 まぁジュンが何を企んでいるかは後々わかるだろう。 とにかく呼び込みをするか。 ―£― 「おーい!」 入り口前に絞って呼び込みをジュンと二人でしていると、ポスターを貼り終えたであろうノブがやってきた。 「おぉノブ。ポスターの方はバッチリか?」 「あぁ! バッチリですぜ旦那ぁ!」    
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