122人が本棚に入れています
本棚に追加
大学の図書室。
毎日たくさんの人で溢れる大学の中で唯一静かな場所。
朝一から授業がなくても毎日ここに訪れるのが俺の日課だ。
季節は初夏。
今日も俺は窓際の席に座り、風鈴の音色を耳に受けながら過ごしていた。
朝から吹く弱い風に揺られた音色は、少しの眠気を誘うほどに心地好い。
もうこの図書室の窓際の席は俺の特等席になっている。
一年以上座っている為か誰もここには座らないからだ。
平凡な日常が一番良いよな――なんて思いながらまた一日を過ごす。
今日そんなにのんびりしていられないのを思いだし、最近買ったばかりの小説に栞を挟んで時計に目を向ける。
やべっ。
そろそろサークルの集まりがある時間だ。
遅刻厳禁だし急がないとヤバい。
せっかくの憩いの時間に名残惜しさを感じながら、俺はバックを手に持ち図書室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!