初夏の風鈴

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    時間に余裕を持たせて二時限目のある教室に入った。 俺の所属している学部は経済。 商業系を専攻している人間が時間にルーズだったら話にならないからな。 「おっ、それいいなノブ!」 「だろ? さっそく一枚書いてみようぜ!」 いきなりジュンとノブが隣で騒ぎ出した。 またこいつらは何か企んでんのかな。 「ジュン、ノブ。どうかしたのか? 書くって何を書くんだ?」 俺がそう尋ねると、二人は一枚の紙の上部に書いた文字を見せてきた。 『写真サークル 四季 メンバー募集中』 「メンバー募集のポスターを作るんだよ! 掲示板に貼れば誰か来そうじゃないか?」 それはいい案かもな。 掲示板なら毎日いろんな人が見るし、効果は期待出来る。 「なるほどな。んじゃポスター作りはまかせたぞノブ」 「まかせとけ! なら俺は今日ポスター作りに専念する。講習後の呼び込みはヒロとジュンでよろしく」 ノブは絵心があるからきっと良い物が出来るだろう。 俺とジュンはノブのポスターに期待を込め、講習後の呼び込みに向けて気合いを入れた。    
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