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必死になって、奪われた上着を抱きかかえて、背中を丸めながら、自分を守ろうとしているそのチビ助を見た瞬間、俺の中の何かの糸が、プッツンと音を立てた。
「おい、お前ら! よってたかって、何してやがる!」
一度怒鳴っておいてから、ズカズカと歩みよった。
「あ? オメーにゃ、関係ねぇよ! いいからこっちくんじゃねぇ」
明らかに、リーダー格らしい男が振り向きざま怒鳴り返してきた。
「関係ねぇだ? んなこたぁどうでもいいんだよ…」
後の事はあまり覚えちゃいない。
殴り、殴られ、蹴られて蹴り返して。…気が付いたら、ヤツらは足元に伸びてて、チビ助はうずくまって泣いていた。
今日着てきたお気に入りのパーカーも肩口が思い切り破けてるし、みっともなく伸びてる。
「おいチビ助、大丈夫か?」
ヒックヒックと嗚咽を洩らすチビ助の腕を取って、立ち上がらせようと声を掛けたが、どうやら口も思い切り切ったらしい。血の味が、口の中に広がった。
(くっそ、最悪…)
そう悪態をつきながら、チビ助を立たせてやり、ズボンの膝を払ってやった。
「……ごっ、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
そう言って、チビ助は
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