30人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんな事聞かれるのイヤか? でもな、アレはちょっとヤバいんじゃねーの? 話が出来るなら少し教えてくれないか」
聞いた所でどうもしてやれないかもしれない。だけど、遥季の口から話をしてくれたら、遥季自身気持ちが落ち着くかもしれないと、俺は浅はかにもそんなふうに思っていた。
「うん。でも大丈夫だから…」
「そうやって自分の本音から逃げてるなら、……やめた方いいぞ」
つい、口から出た批判的な台詞を、遥季は頷いて認めた。
「知ってるんだ僕、自分からは何も出来ない」
ぎゅっと、座った膝の上で握った拳の上にパタパタと涙がこぼれ落ちた。
今度は俺が泣かせてしまった。
でも俺が思った本音なのは確かだ。
「ありがとう」
「え?」
「多分、多分ね、そうやって叱ってくれた方が、僕も楽」
思いがけずに礼を言われて戸惑ったが、遥季のそんな姿に、胸が締め付けられるような感じがした。
最初のコメントを投稿しよう!