A Day

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          傷の手当てもなんとか済んだところで、ふと無言の空気が流れた。  自分の部屋なのに落ち着かない。  遥季を見ると、キョロキョロと部屋を観察し始めた。と、一点で視線が留まった。俺も連れてその方向へ視線を向ける。  その場所には、母親が無理やり建て付けたA4サイズの、幼い頃の家族写真が額にはめられてしっかりと壁に打ち付けられている。  以前、一度だけ母親がこの部屋に来た時に、業者の手によって飾られたモノだ…。俺の不在の時を狙って…。  嫌な事を思い出しながらも、遥季がじっと見つめているので、気になった。 「それが、俺の家族だよ。今は各々アメリカとフランスにいる」 「小さいのは、文斗?」 「あぁ。大分イメージ違うだろ」  幼い頃は体が華奢で、平均より小さかった。 「弟さんかと思ったけど、文斗、兄弟はいないの?」 「欲しかったけど、残念ながら一人っ子」 「そうなんだ……僕には兄さんがいるよ」  そう言って、悲しげに視線を落としたのが気になったが、すかさず視線を戻すと、今度は指を別な方にかざしてあれは何か、と聞いてきた。  見ると、コルクボード一面に貼られてある、俺が趣味で撮ってる写真の数々だった。
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