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「家に送ってやるよ。その格好じゃなんだから、これ、サイズデカいだろうけど着替えろよ」
遥季に差し出しながら、空いている片手で頭をくしゃっと撫でてやった。
髪質も顔に似て柔らかいのか…。
「あの……、迷惑じゃなかったら、今夜ここに泊めてもらってもいいかな…?」
遠慮がちに、でも今度ははっきりとそう聞かれた。
そりゃ、泊めてもかまわないけど、後々面倒な事になんなきゃって思う。
まぁ、女の子じゃないから大丈夫だとは思うけど、このご時世、遥季の両親がモンスターペアレンツじゃない保証はない。
「お前ん家、そういうの大丈夫なのか? なんかお前の雰囲気、お坊ちゃん風だし…」
「ううん。お坊ちゃんなんて、そんな事ないよ。普通だよ、普通の高校生。それに、家族同士あんまり干渉しあわないから一晩居なくても、意外と平気」
平然とそう言われるとそうなのかと思ってしまうが、遥季の佇まいを改めて見ると、決してそんな雰囲気ではなかった。
話方もゆっくりしていて、なんとなく坊ちゃんだ。
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