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身体を揺らされて、微かに目を開けてみた。
薄暗い中で、遥季が不安そうな目付きで俺の身体を遠慮がちに揺らしてる。
「ん…どうした? 何かあった?」
「……」
「何?」
「……一緒に寝ちゃダメ?」
蚊の鳴くような声ですがられた。
ああ、そうか。今日こいつはイヤな目に合ったんだっけ。
「怖くて眠れない?」
「……うん」
だよな。ガタイのいい男共にボロボロになるまでいじめられてたんだ。思い出して寝付けないよな…。
「いいよ。ソファーじゃ狭いから、俺が移動するよ。ちょっと待って」
上半身を起こし、部屋に促すと、遥季は俺のTシャツの裾を子供がするみたいにぎゅっと掴んで動かなくなった。
「ほら、行くぞ、寝よう」
Tシャツを握る手を優しくなだめてやって、先に寝室へと歩かせ、遥季がベッドに入るまで待ってやってから、俺もその隣に潜り込んだ。
幸いな事にベッドのサイズはダブルだから悠々と身体が納まる。
遥季の身体が震えてるのに気付いた。ずっとこうやって1人、恐怖感を我慢してたのだろう。
閉じた睫も微かに震えていた。
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