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鈴は手早く荷物を纏めると、その日は家で最後とばかりに過ごした。
次の日にサクヤが昨日の黒い車で迎えにやって来た。
「お迎えに上がりました」
紳士的な態度に穏やかな笑み。
対して鈴は表情も硬く、サクヤに対して警戒している様に見える。
「そんなに警戒しなくても……何もしませんよ」
相変わらずの穏やかな笑みに、硬い表情のまま鈴は頷き、彼について行く。
鈴は泣きそうな自分の母の顔を見ようとはしない。
見ると多分、自分も泣いてしまうような気がしたから……
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