20人が本棚に入れています
本棚に追加
「大変だったわねえ。鈴」
ある一日の始まりは穏やかなもので、一軒の家に朗らかな女性の声が響く。
鈴と呼ばれた黒髪の少女はそれに朝御飯のパンを食べながら、頷く。
あの事件に遭遇した者には口止めがなされ、表面だけの穏やかな日々は戻った。
だが、あの事件の前までの日々に戻れない事を鈴は感じていた。
食事後、鈴は学校へ行く準備をする。
鈴は中学での残り少ない日々を大事にしたいとも思っているが、しかし、あの事件より前には戻れない事も分かっていた。
最初のコメントを投稿しよう!