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そして一行は、襄陽に着いた。
「こちらへ」
劉備達は蔡夫人の部屋に着いた。
「失礼します。劉備殿をお連れいたしました。」
「どうぞ、中へ」
劉備達が中に入るとそこには蔡夫人と蔡瑁がいた
「劉備殿、わざわざご足労ありがとうございます。劉備殿と親交を深めたく開いた宴でございます。思う存分楽しんでいってください」
扇子を片手に妖艶な立ち振舞いの蔡夫人。
劉備も頭を下げ、促されるままに食膳の前に腰をかけようとした。
するとその時単福が
「劉備殿、劉表殿を一度見舞われてはいかがでしょう?」
と声大きめに劉備にふと問いかけた。
「おぉ、そうだな。
大変申し訳ないが一度、劉表殿にご挨拶してきてもよろしいでしょうか?」
この劉備の言葉に蔡夫人も一瞬表情を強張らせるが、すぐに文聘に劉表のもとへ案内するように合図を送った。
「劉表様も劉備殿の顔を見たら元気になるかも知れません…、どうぞ顔を見に行ってあげてくださいませ...
蔡夫人の言葉を受けると劉備は軽く会釈をし、文聘に連れられ趙雲、陳武と共に部屋をあとにした。
そして劉備に続いて部屋を一度出ようとした単福が扉前で立ち止まり
「蔡夫人殿、私はちょっと疲れたので田予殿とここで劉備様を待たせて頂いてもよろしいですか?」
と屈託のない表情を装い蔡夫人へ言葉をかける。
「え、えぇ、勿論...、ごゆっくりなさってくださいませ…。」
表情こそ柔らかく見せているが内心では単福に計画を少しずつ狂わせられ苛立ちを覚えていた。
その様子を見て単福は何かを確信したかのように顎髭に手を当てながら頷いていた。
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