劉備暗殺計画

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そんな様子の中、こちらも苛立ちの様子を垣間見せる劉表軍の将、蔡瑁が単福に声をかける。 「単福殿…と申しましたね…??」 「あなたは曹操軍をどう見ておられるか?」 蔡瑁の問いに単福はスッと立ち上がり部屋を右往左往しながら答え始めた。 「……曹操軍が南下を開始すれば平和慣れした荊州の軍には、これを防ぐ手立てはないと思います」 「ところで蔡瑁殿、楽しい宴にあのような物騒な近衛兵は不釣り合いではないでしょうか?」 とふいに単福が近衛兵を指差し不快感を露に蔡瑁に指摘する。 「えっ!?あ、あぁ、これ、下がるんだ。客人に失礼だろう…」 突然の指摘に蔡瑁は不覚にも動揺を隠せず慌てて近衛兵を外に出した。 「申し訳なかった…、単福殿。最近はこの辺も物騒でな…」 必死に取り繕う蔡瑁を嘲笑うかの如く尚も単福は言葉を発す。 「おぉ!これは見事な酒瓶ですな!さぞ凡人では到底ありつけない高級な酒が入ってるんでしょうな! 蔡瑁殿、あのお酒を頂いてもよろしいですか?」 これには蔡瑁と蔡夫人、2人共明らかに焦りにも似た言動を一瞬見せた。 『そ、それは!』 「単福殿!り、劉備殿もまだこちらに戻られてないのに、先に臣下が酒を喰らうとは、少々礼節に欠く行為ではないか!?」 必死に取り繕い蔡瑁が言葉を返した。 「申し訳ありません、育ちが田舎なもので、無礼をした事、お詫び致します。しかし蔡瑁殿、ちと慌て過ぎではないですか?私が酒瓶に手を触れただけであなたの動揺は、普通ではない…。 なにかこの酒を私に飲ませたく理由でもおありのようだ」 蔡瑁は慌てて 「い、いや!私はただ…、その主君を差し置いて臣下が酒を先に飲むことに…」 明らかに蔡瑁は動揺していた 。
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