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「そっか。双くんは、大変なんだね」
「……うん」
やすみとしても、頭では双樹の置かれた状態に理解はしているようだ。
しぶしぶ、といった様子で頷いた。
ともあれ、相変わらず、双樹が一番、という態度のやすみが、愛にとっては微笑ましい。
愛はクスリと笑うと、
「双くんのことだから、きっと優秀なお医者さんになるね」
言いながら、窓の外を眺めた。
飛び立っていく飛行機たち。
それは、愛に4年半前の別れを思い返させた。
──あの時。
シンは本当は見送ってくれていたのだと、後からやすみに聞いた。
…あの時、最後に会えていれば……何か変わっていたのかな?
その答えは、一生分からないだろう。
「愛ちゃん、こっち~」
マンションまでの道案内をするべく、先に立ったやすみの声がする。
感傷に浸っていた愛は、慌てて歩き始めて……
「……あれ?やすみ、こっちじゃない?」
「あ……ホントだ」
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