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とはいえ、誉められ慣れていない和葉は、
「もういいって!それより……ホントに急だったよね」
照れ隠しに、少し無理やりな感じで話題を変えた。
愛はそんな和葉に笑いながら、
「ねぇ?もう少し後でも、って言ったんだけど聞かなくて」
「やすみらしい」
和葉は思わず吹き出してしまった。
「でしょう?こうなったら、ホントやすみには誰も敵わないから」
それは高校時代を一緒に過ごした和葉にも良く分かる。
やすみのワガママはいつもなぜか通ってしまうのだ。
周りはもう振り回されるしかない。
和葉は諦めたように笑っている愛に、周りを見渡しながら、
「それにしても、すごい装飾になったよね」
そう感嘆の声を洩らす。
それは和葉の正直な感想だ。
昨日の夜、準備を手伝った彼女ではあったけれど、改めて見ると……やはりすごい。
何しろ、いつものシンのバーとは全くイメージが違っていた。
薄暗いバーのイメージを激変させる、何本も立てられた色とりどりのキャンドル。
各テーブルに掛けられたクリームベージュのレースのテーブルクロス。
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