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所狭しと飾られた花々はピンクとオレンジで統一され、メルヘンな雰囲気を醸し出している。
白のレースを使って、カーテンのように天井を飾っていたり……
まるでお姫様の部屋に迷い込んだような感覚に陥ってしまうぐらいだ。
「めちゃくちゃやすみ好み」
グラスの足に飾り付けられた細いリボンを引っ張りながら呟く和葉を見て、愛も笑う。
「それがテーマだもん」
そうこうしているうちに、店内には少しずつ人が増え始めてきていた。
「結構大人数だね」
感心した様子の和葉に、愛は頷きながら、
「急だったにも関わらず、ね。みんないい人ばっかり」
そう答える。
次々に訪れる中には、愛が知っている顔もあれば、見たこともない人々もいる。
ただ、何となく誰もが知り合いに思えるのは、どの人も一度はやすみの話に出てきた人物だからだろう。
「あ、和葉はこっち」
愛は思い出したように、混み合って店内を見回すと、和葉をテーブル席に案内する。
こぢんまりした背の高いテーブル席に腰掛けながら、
「そう言えば、男の子だって?」
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