未来へ…

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和葉が話題に出したのは、やすみの赤ちゃんのことだ。 愛は頷きながら、小さく微笑んだ。 「うん。……やすみは双くんそっくりに育てたいって意気込んでるけど」 「やすみが母親で、津田くんみたいな子供に育つのかなぁ?」 「ふふっ。シンくんも同じこと言ってた。……でも多分」 言い掛けた愛は、ふと言葉を途切れさせて微笑む。 「和葉。来たよ、彼氏!」 その言葉が終わるか終わらないかのうちに、 「悪い。遅れた」 声が聞こえて、2人は振り返る。 「遅いよ。……て言っても、あんたが時間通り来るなんて思ってなかったけどさ」 和葉が呆れたように……でも、唇に笑みを浮かべながらそう言った。 相手の男は、少し決まり悪げにネクタイを緩めながら、愛を見上げる。 「主役は?」 「まだだよ」 返事を聞いて、少しホッとした表情を浮かべたのは──…
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