5845人が本棚に入れています
本棚に追加
/1066ページ
「そういうこと言わないの!」
そうたしなめる愛の唇もゆるんでいる。
シンはジャケットのポケットから携帯を取り出すと、ニヤニヤしながらそれを唇に当てた。
「オレぜってー写メとってやろ」
「シンくんたら……」
愛の呆れ顔にも構わずに、シンは実に楽しそうに時計を見上げて。
「あ、そう言えば……」
ふと思い出したように、デニムのポケットに手を突っ込んだ。
出した手に持っていたのは、可愛いレースで飾られた封筒だ。
「なぁに、それ……」
不思議そうに見つめる愛に、シンは軽くそれを振りながら、
「何か、さっきやすみのやつに渡された。おまえとオレ宛てだと。後で見ろって言われたけど……」
言いながらも、シンの手は既に封筒を開けている。
「今見ちゃうか」
「えぇ?」
「だって気になんじゃん。悪口書いてっかもよ?」
「そんな訳ないじゃん……」
ためらいながらも、愛もシンの方へ顔を寄せる。
何やかんや言いながらも、やはり気になるのだ。
「え~と、なになに……『愛ちゃんへ』……」
最初のコメントを投稿しよう!