未来へ…

11/16

5845人が本棚に入れています
本棚に追加
/1066ページ
「そういうこと言わないの!」 そうたしなめる愛の唇もゆるんでいる。 シンはジャケットのポケットから携帯を取り出すと、ニヤニヤしながらそれを唇に当てた。 「オレぜってー写メとってやろ」 「シンくんたら……」 愛の呆れ顔にも構わずに、シンは実に楽しそうに時計を見上げて。 「あ、そう言えば……」 ふと思い出したように、デニムのポケットに手を突っ込んだ。 出した手に持っていたのは、可愛いレースで飾られた封筒だ。 「なぁに、それ……」 不思議そうに見つめる愛に、シンは軽くそれを振りながら、 「何か、さっきやすみのやつに渡された。おまえとオレ宛てだと。後で見ろって言われたけど……」 言いながらも、シンの手は既に封筒を開けている。 「今見ちゃうか」 「えぇ?」 「だって気になんじゃん。悪口書いてっかもよ?」 「そんな訳ないじゃん……」 ためらいながらも、愛もシンの方へ顔を寄せる。 何やかんや言いながらも、やはり気になるのだ。 「え~と、なになに……『愛ちゃんへ』……」
/1066ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5845人が本棚に入れています
本棚に追加