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笑いながら読み始めたシンの声が止まる。
視線は手紙に吸い込まれて。
自然に真剣な顔になっていった。
『──愛ちゃんへ。
いつも一緒にいて、悩んだり喜んだりしてくれる、大好きな愛ちゃん。
なかなか改めてお礼も言えないから、お手紙を書くことにします。
愛ちゃんと会った日のこと。
やすみはずっと忘れられません。
教壇に立っていた、お人形のような転校生の女の子が、こんなにも近い存在になるなんて、あの時は想像もしてなかったの。
なのに、なぜかあの時の光景はやすみの頭に焼き付いたまま。
きっとあの日、あの時がやすみの『人生の転機』ってやつだったんだね。
愛ちゃんは、双くんとシンくんだけだったやすみの世界を、一気に広げてくれたの。
誰かに感謝したり、誰かのために何かしたいって思う気持ち。
そして、誰かの役に立てなくて悔しい気持ちも……全部全部、愛ちゃんとの出会いが教えてくれたんだよ。
やすみね。
愛ちゃんと会えて良かった。
ここまで来れたのも、愛ちゃんのお陰だよ。
これからも……いつまでも、やすみを愛ちゃんの親友でいさせてね』
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