未来へ…

13/16

5844人が本棚に入れています
本棚に追加
/1066ページ
手紙を読む愛のまぶたが赤く膨らむ。 全て全て、自分の方こそ言いたい言葉。 それがその手紙には連なっていた。 手紙を握り締めている愛を微笑みながら見やって、シンは次の紙を開ける。 『──シンくんへ。 乱暴もので、自分勝手で、いつも子供みたいなシンくん……』 「おいおい、書き出しが全然違うじゃねーかよ?」 一気に醒めた気分で、ブツブツ言いながら、シンは手紙を読み進める。 『シンくんは小さい時からやすみをからかったりイジメたり。 多分やすみは、シンくんに泣かされた回数が一番多いと思います。』 それはシンも認めざるを得ない事実なだけに、思わず口をひん曲げた。 読むのを止めようかとも思ったシンの目に、次の言葉が飛び込んでくる。 『でもね……きっと、やすみを守ってくれた回数も、誰よりも多いと思うんだよ』 やすみの言葉は幼い頃のまま。
/1066ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5844人が本棚に入れています
本棚に追加