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手紙を読む愛のまぶたが赤く膨らむ。
全て全て、自分の方こそ言いたい言葉。
それがその手紙には連なっていた。
手紙を握り締めている愛を微笑みながら見やって、シンは次の紙を開ける。
『──シンくんへ。
乱暴もので、自分勝手で、いつも子供みたいなシンくん……』
「おいおい、書き出しが全然違うじゃねーかよ?」
一気に醒めた気分で、ブツブツ言いながら、シンは手紙を読み進める。
『シンくんは小さい時からやすみをからかったりイジメたり。
多分やすみは、シンくんに泣かされた回数が一番多いと思います。』
それはシンも認めざるを得ない事実なだけに、思わず口をひん曲げた。
読むのを止めようかとも思ったシンの目に、次の言葉が飛び込んでくる。
『でもね……きっと、やすみを守ってくれた回数も、誰よりも多いと思うんだよ』
やすみの言葉は幼い頃のまま。
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