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童顔の彼女がそんな表情をすると、まだ高校生、と言っても通るぐらいだ。
「双くんてば、ちゃんと順序を踏まないとダメだ、なんて言うんだもん」
やすみは不満げだが、愛には双樹の気持ちは良く分かった。
「それだけ、やすみのことを真面目に考えてくれてるってことだよ」
「そう……かなぁ」
「そうだよ」
愛がニッコリ笑うと、やすみもやっと、万更ではない顔で微笑む。
「……なんか、愛ちゃんに言われると、そう思えてきた!」
そんな素直なやすみを眺めながら……愛の胸は、少し痛む。
…昔なら、ここでシンくんの話題になってたとこだけど……
彼の名前は、出ない。
やすみも、愛に気を遣ってか、妙に空いた会話に、軽く目を泳がせた。
「ねっ、それよりも……」
愛は話題を変えるべく、声を上げる。
「今日は1人で来てくれたの?」
聞くと、今度はやすみの方が、少し顔を曇らせた。
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