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「……うん……。本当は双くんも来る予定だったんだけど……ごめんね?」
「そんな、全然いいんだけど、双くんは忙しいの?」
聞いてみると、やすみはプクッと頬を膨らませた。
「忙しいんだって。なかなか帰ってこないし」
やすみやシンと違う大学に進学した双樹は、医学部ということで6年制。
春休みということで実家に帰っては来ていたものの、実習、ということなのか、実家の病院にいることがほとんどだ。
ゆくゆくは父親の経営する病院で働くつもりらしいから、当然のこと。
とはいえ。
実家に戻ってきているのだから、いっぱい会える!
と、喜んでいたやすみだったから。
もともと、双樹は天才と思われがちだが、実は意外と努力の人で。
(いや、もちろん勉強自体は苦手ではないし、そもそもその集中力を持つ人を天才、と言うのかも知れないが)
専門分野に進んだ今、実習に加え、勉強もさらに必要になるのは仕方のないことだろう。
とにかく、ほとんど家にいないかと思えば、帰って来ても泥のように寝ているかどちらかだった。
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