追跡とストーカー

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1 2000年、12月20日。 名古屋市内にあるアパートの一室で寝ている姫野珠理は、カーテンの僅かな隙間から差し込む朝日の眩しさで目が覚めた。 彼女は仰向けになった状態のまま、枕元に手を精一杯伸ばして目覚まし時計を掴み、顔の前まで持ち上げた。 午前七時、朝日のせいで少し早く起きてしまった。舌打ちをする、しかし、気分は悪くない。 姫野は飛び上がる様な勢いでベッドから飛び降りた。両目のピントをゆっくりと合わせる、テーブルに置いてあるリモコンでテレビの電源を入れた。アナウンサーが昨日の夜に見たようなニュースを喋っている。 彼女は足に全エネルギーを集中して立ち上がる、そのままキッチンに向かい、珈琲を煎れる。 珈琲がはいるまでの時間で顔を洗って歯を磨いた。キッチンに戻り戸棚からコーヒーカップを取り出す、珈琲が溜まったポットを掴み、 カップに注ぎ込む。 カップを手に持ったままテーブルの前に座り、珈琲を飲みながらニュースを見る。 絶対に朝に見るニュース何て誰も真面目に見るはずがない、と姫野は思う。 カップをテーブルに置いて、鏡を手に取る。自分の髪がベートーベンの様に爆発している。
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