追跡とストーカー

7/9
前へ
/9ページ
次へ
最近のシャープペンは色々なデザインがある、携帯電話が普及してしばらくだか、最近は携帯電話にもデザインを重視したものがある。 「この雑誌買っちゃおっかなぁー」田中が隣で呟いた、もちろん田中が購入するものは姫野が許可してからというルールは無い。 「買えば」姫野が素っ気なく言う。彼女はシャープペンの芯を出したり戻したりしている。 田中は雑誌を二冊抱え、レジに向かった。 姫野もキャラクターデザインのシャープペンを買おうとしたが、諦めた。いつも、最後の後押しが自分には足りないのだ。 「買っちゃったー」田中は紙袋を抱えている。 どこかで携帯電話の電子音が鳴った。どうやら、田中のバッグから鳴っている様である。 田中は姫野に目で合図して購買から早足で出ていった。 姫野も手に持っていたシャープペンを元の場所に戻して購買を出た。 購買の入口から少し離れた所で、田中が携帯電話で電話をしている。 姫野は購買の入口で待つ事にした。 少しして、電話を終えた田中が姫野の所に来た。 「ねぇ、姫野、今日暇?」田中が顔を少し傾けてきいた。 「暇だよ」姫野は嫌な予感がしたが答えた「でも合コンならお断り」 「違うよ、あのね、ちょっと会ってほしい人が居るんだ」田中が顔を赤らめて言った。 「まさか恋人じゃないでしょうね?」姫野がきく。 田中は微笑んで少し舌を出した。どうやら、その通りのようだ。 「父親か、私は…」姫野は呆れた声で言う。 「じゃあお願いね、お父さん」田中が姫野の腕を掴む。 姫野は溜息を吐いた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加