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彼女はレイを見ると、彼の方へと小走りで近づいてきた。
にも関わらず、近づいた彼女はレイに話しかけはしない。
彼の眼前で、下を向いたまま黙りこんでいる。
内気な人なんですね、と彼女の心情を察したレイは、仕方なく自分から声をかけることにした。
「よければ僕と組みませんか?」
「え……あ……はいっ! よ、よろしくお願いします!」
顔を赤らめてどもる少女を見てレイはクスッと笑った。
「え……あ、あの……もしかして私変なことしました?」
恥ずかしそうに聞く彼女にレイはいえ、そうではありませんがと前置きして答える。
「少し動揺しているみたいでしたので」
「あ、す、すみません! なんだかおかしいですよね、私……」
そう言ってうつむいてしまう彼女がどこか可愛らしくて、レイは再びクスッと笑った。
「そんなことありませんよ。でも本当に僕なんかでいいんですか? 僕は――」
そこまで言いかけたレイを彼女が遮る。
「皆に落ちこぼれと呼ばれているレイ=カーライルなんですよ、とでも言うのですか?」
その言葉にレイは少し表情を強張らせ、口をつぐんでしまった。
まさに彼女の言う通りだった。なにせ落ちこぼれであることを知って尚、自分と組んでくれるような人がハイド以外にいるとは思えなかったし、自分のほうに来てくれたのも希代の落ちこぼれだと知らないからだと思っていたからだ。
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