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綺麗な夕焼けが空に広がっている。
そんな空の下で、細身の少年がとぼとぼと歩いている。
髪は明るい茶色で、前髪は左右に分けられ、横髪と後髪は肩には全然届いてないものの男の子としては長い。
女の子のような顔立ちのその少年はどこか柔らかく優しそうな雰囲気を持っている。同時に、何か悲しげな雰囲気も持っていた。
上空に広がる燃えるような赤色を見上げながら、レイ=カーライルは大きくため息をついた。
彼は今日から新学期が始まった学校から帰宅しているところで、両側が家に挟まれた狭い路地を一人で歩いている。
彼が帰宅する時はたいてい一人だ。友達がいないわけじゃない。ただ、仲のいい友達の家が反対方向なだけだ。
家である小さなアパートの一室に着き、中へ入るもそこには誰もいない。
まだ16になったばかりのレイは寂しさを感じずにはいられなかった。
だがもう5年間もこの状態だからいい加減慣れなければいけないし、これも自分で選んだことだからしかたがないと自分に言い聞かせる。
家族はいないというわけではない。
しかし11才の時にレイは家を出て、一人暮しを始めた。収入は母親からの仕送りである。
こんな出来損ないで、勝手に家を出たわがままな息子にお金を送ってくれることにレイは常日頃から深く感謝している。
簡単に夕飯を済まし、シャワーを浴びてベッドにごろんと寝転んだ。
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