Sirius Jackdaw

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「あれでまだ二十五……いや、今年で二十六になるか。入隊して僅か七年とは思えない落ち着きだな。 流石は、史上最年少の皇将といったところか……」 ゲイルは振り返ってシリウスが去った方を見遣った。 「ライズこそまだ不完全ですが……。それにも拘わらず五番目の地位にいるなんて俄かには信じられませんし、それに……」 「感情が見えない、か」 「ええ……」 レベッカはゲイルと同じ方、誰もいない暗い廊下を見据える。 全く生気を映さないあの目は、レベッカに恐怖と言っても差し支えないような酷い寒気を感じさせていた。 「確かに、彼のあの冷たさ、いや虚ろさは異常だな。しかし、だから何だと言うのだ? 例え思考が読めなくとも、今の彼なら簡単に捻り潰せるさ。 私は、彼が私に刃向かう馬鹿でないことを祈るよ」 絶対的な自信の言葉を口にし、ゲイルは不敵な笑みを浮かべた。 格下の羽虫のあがきなど、ただ見苦しいだけのもの。 シリウスの考えよりも、ゲイルにとっては『自分の手を煩わさせられるという手間』の方が問題だったのだ。 「ええ、そうですね……」 そんな上官に適当に相槌を打つレベッカだったが、内心ではゲイルに賛同しかねていた。 力で押さえれば問題無い。 その考えは、レベッカが好むものではなかった。 (何も、起きなければいいんだけど……) 俯きながら、レベッカは心の内でそう願った。 しかし、嫌な予感は拭い去れない。 (フレアに……伝えるべきかしら……)
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