Sirius Jackdaw

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レベッカの脳裏に過ぎるのは、王国にいる旧い友の姿。 『帝国内で起こった出来事をその都度伝えてくれないか?』 何故彼が知りたがるのかはわからなかったが、きっと何かしら重要な意味があると思ったレベッカはそれを承諾した。 そしてそれから程なくして皇帝が意識不明になり、最も疑わしい人間の個人行動が増えたのだ。 (貴方は……いったい何を知っているの?) その問いに答えられる者は、今この場にはいなかった。 二日後。 山道を歩くシリウスの後ろには、軍服を着ている男が二人。 しかしシリウス自身はだぼだぼの白いシャツに青いジーンズという、至って楽な恰好である。 肩から斜め掛けにしている黒いバッグを揺らしながら、両脇を木々に挟まれた山道を進む。 そんな完全な私服であるにも拘わらず、腰には黒い鞘に入った剣がしっかりと差してあった。 後ろの二人は一言も発することなく、ただシリウスの後に続く。 王国に行くために通常の交通機関を使わないその理由は定かではないが、後ろの二人はそんなことを気にしている様子は無い。 対象の不可解な行動に疑問を持たないなど、もはや監視係としては失格とも言えた。 城から山の麓まで転移魔法を使った彼らは、もう六時間以上歩いている。 その間全く休んでおらず、また息を切らさないあたり、シリウスだけでなく後ろの二人もまた、鍛え上げられた軍人だということが窺えた。
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