Sirius Jackdaw

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「…………」 驚く彼らを尻目に、無言で空を見上げ続けるシリウス。 虚無を具現するかのようなその瞳で虚空を見つめる彼の、その胸中はいかなるものか。 後ろの二人には推し量る術も、その意思もなかった。 ただただ呆気に取られる監視をさておいて、シリウスは顔を前に向け歩き出す。 置いていかれる形となった二人は一瞬だけ軍人らしからぬ慌て様を見せたが、すぐにまたきりっとした表情に切り替わった。 歩いて行く中で、徐々にきつくなる斜面。 ちょうど山頂に差し掛かろうという頃に、森の中には不釣り合いな四角いコンクリートの、サイコロのような形の建物が彼らの眼前に現れた。 シリウスは少し上に見えるその建物に目を遣りつつ、後ろの二人に言う。 「この付近、少し東に行った所にに村がある。お前達はそこに駐留し、『異常無し』という報告を送り続けろ。期間は俺が帰って来るまでのおよそ半年だ。 質問には全て『問題無し』との主旨を返しておけ。いいな」 監視に対して、まさかの指示。 通常ならば何を言っているのかと理解できない台詞。 しかし、直属の部下でないにも拘わらず、それどころか監視のために同行しているはずの二人は、威勢のいい返事と共にすばやくその場から去った。 まるで、監視の役割など最初からなかったかのように。 「……弱い心だな」 二人が去り、一人になったシリウスは、建物に目を向けたままぽつりとそう零した。
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