Sirius Jackdaw

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「許可証を」 シリウスに気がついた、最もドアに近い場所に立っていた男が手を差し出す。 シリウスは立ち止まり、男に言った。 「そんな物は必要ない。解ったか?」 男はその命令とも取れる返答に、表情を変える事なく頷く。 それを確認したシリウスは、さらに付け加えて命じた。 「もう一つ。『今日ここには誰も訪れなかった』 解ったか?」 「はい。記録にはそう記しておきます」 まるで人形ように、シリウスの言葉をただ受け入れるだけの男。 そして、それを咎めようとはしない他の軍人達。 明らかに異様な光景だったが、シリウスはそれを気に留める事もなく扉に近づいていく。 扉を開くと、同じような部屋に今度は青い軍服に身を包んだ軍人が七、八人いた。 「許可証を」 「そんな物は必要ない。解ったか?」 先程と全く同じやり取りを繰り返すシリウス。 そして先程の男と同じように頷く青い軍人。 「そして今日ここには誰も来なかった、解ったな?」 又しても人形のように頷く軍人を見て、シリウスはこの建物に入って来たドアと同じ種類のドアに向かって歩いていき、そしてその自動ドアを抜けた。 シリウスの前には、ひたすら続く下り坂が延びている。 そして少し視線を上げると、山の麓になかなか大きな都市が広がっているのが見えた。 その都市を見据えながら、シリウスは自分の髪に右手を翳す。 すると、シリウスの髪と目が、手を中心にそこから広がるようにして徐々に金色に変わっていった。 完全に金髪金眼になったシリウスは眼下に広がる都市を見ながら、ぽつりと呟いた。 「リリス=ライト、か」    ――to be continued
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