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「今回お前にはこの2人の専属の教師としてマーセル学園の高等部に赴任してもらう。2人ともすばらしい才能を持っている」
「……つまり彼らが道を踏み外さぬようにしろ、ということですね?」
「察しがよくて助かるの」
キリサキは大臣から紙を受け取りザッと目を通す。
「ロイ=カーライルと……エレナ=カーライル……双子ですか?」
キリサキの問いに無言で頷いて肯定する大臣。
「カーライル家……ですか」
キリサキは自分の記憶を探る。
たしかここ数年で急速に財力を蓄え、上流貴族の仲間入りをした一族だったはずだ。
当然何か裏があるのだろうが……
したがって今回の任務は――
「実質上の監視、ですか?」
大臣は一瞬ピクリと眉を上げたが、笑顔でそれを否定する。
「まさか。ただ子供達を正しく導く為、ただそれだけだ」
大臣はそういってキリサキが副担任として受け持つクラスの名簿を渡した。
それにキリサキが目を通していると、「カーライル」の姓をもう一つ見つけた。
「レイ=カーライル?」
「ああ、その子は双子のお兄さんだ。学年は同じだが双子より一つ年上だ。レイ君が4月生まれで双子が3月生まれなんだよ」
なるほど。かなりめずらしいがたしかに有り得なくはない。
しかしまだ疑問が残る。
「この子は対象外なのですか?」
普通なら長男を監視するのが定石だ。何故わざわざ双子なのか。
キリサキはどうも腑に落ちない様子だった。
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