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王立マーセル学園――この世界、サンクジックの中でも有数の大国であるアーメリアル国の辺境にある学園だ。
中では中等部、高等部に分かれていて、4月1日で12~14才の者は中等部、15~17才の者は高等部に通う。
この世界では魔法と呼ばれるものが普及しているため、この学園で学ぶのも魔法が中心となる。
そんな学園の門から入ってくる数多の生徒の中に、茶髪で細身の少年がいた。
周囲の視線は、ほとんどが彼に注がれている。
はっきり言って、あまり心地良い視線ではない。
そんな悪い意味での注目の的になっている細身の少年の背中を、彼よりも一回り身体が大きな少年が勢いよくひっぱたいた。
「よお、朝から暗いなぁレイは!」
レイはその少年を睨みつける。といっても、さして敵意が篭っているわけではないが。
「ハイドは朝から五月蝿すぎます。それともう少し手加減してください。リアルに痛いです」
悪い悪い、と特に悪びれる様子も無く平謝りをするハイド。
髪はかなり短い黒髪で、その短さ故につんつんに立っている。
鼻筋がすっと通った端正な顔出ちで切れ長の眼をしている。
一言で言えばイケメンで、それゆえに女の子にはモテる。
二人はだだっ広い校内を歩き、高等部一年の教室がある、一番東の建物の三階を目指す。
すでにクラスメートが集まっていた教室に入るやいなや、そこかしこからざわめきが起こった。
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