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「誰だっ!?」
二人の心臓は飛び跳ねた。
声の方に弓が放たれたように見ると。
真っ黒のローブに身を包み、フードを目深に被った者が、扉の横の壁に凭れかかっていた。
唯でさえ闇夜なのに、深く顔を隠されては容姿など窺い知る事は出来ない。
ただフードから除く蒼白い半相だけが夜闇に浮かんでいる。
身長は標準男性ぐらいだが、長身の女性とも取る事が出来た。
二人は身震いをした。
全く存在に気付かなかったのだ。
「お前は、誰だ…?」
図体のでかい方が机のランプを取り上げようとすると、突然甲高い音を発してランプが粉々に砕け散った。
双方の瞳は見開かれる。
一瞬にして、視界は漆黒の闇に包まれた。
「おっ、お前っ…!」
机に足をぶつけつつ濁声は影があった場所まで走った。
そして手を大振りするも、宙を掻いただけであった。
呆然と立ち竦んでいると、何処からともなく声が聞こえてきた。
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