プロローグ

5/6
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
「誰だっ!?」 二人の心臓は飛び跳ねた。 声の方に弓が放たれたように見ると。 真っ黒のローブに身を包み、フードを目深に被った者が、扉の横の壁に凭れかかっていた。 唯でさえ闇夜なのに、深く顔を隠されては容姿など窺い知る事は出来ない。 ただフードから除く蒼白い半相だけが夜闇に浮かんでいる。 身長は標準男性ぐらいだが、長身の女性とも取る事が出来た。 二人は身震いをした。 全く存在に気付かなかったのだ。 「お前は、誰だ…?」 図体のでかい方が机のランプを取り上げようとすると、突然甲高い音を発してランプが粉々に砕け散った。 双方の瞳は見開かれる。 一瞬にして、視界は漆黒の闇に包まれた。 「おっ、お前っ…!」 机に足をぶつけつつ濁声は影があった場所まで走った。 そして手を大振りするも、宙を掻いただけであった。 呆然と立ち竦んでいると、何処からともなく声が聞こえてきた。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!