プロローグ

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 魔物達が吹き飛んだのを見計らって、声の主は木陰から散歩でもするように現れた。声の主は僕と同じく十七歳ぐらいで、まだ幼さの残る可愛らしい顔立ちだった。  彼女は腰まである綺麗な金髪を揺らしながら、爆発により粉々になった死体を避けて歩いてくる。大きな碧眼(へきがん)は珍しい物を見るように見開かれており、少しだけ警戒心が感じられた。  不思議な事に僕の方は警戒心とかそれらの類いの物は無く、その美しい少女に見入っていた。  少女はゆっくりとした歩みを止め、僕の前に立つ。身長は僕の肩程にもなく、本当にさっきの魔物をぶっとばしたのがこんな可愛らしい少女なのか、分からなくなってくる。僕の前に立った彼女は、何故か恐る恐るといった風に口を開いた。 「……はじめまして?」  そんな彼女の第一声は、何とも間が抜けたものだった。 「……はじめまして」  僕も同じようにそう返すと何が嬉しいのか、彼女はにっこりと可愛らしい笑みを浮かべた。それを見るとつい僕も頬が緩んでしまい、唇の端を少し上げて微笑んでしまう。  これが世界最強の魔法使いで後に僕のご主人様となる、彼女――ミユアンヌとの出会いだった。
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